今回のテーマ:ファーマーズ・マーケット
青山を散歩中に、マーケットをやっているのを発見しました。この「ファーマーズ・マーケット」は、国連大学の前です。
国連大学の前で開催されるこのマーケットは、新鮮な野菜やパン、ジャムなど、健康的で質の高い商品が揃っています。ドイツでは蚤の市やマーケットが日常生活に深く根付いており、日本のマーケットもその魅力に引かれて訪れましたが、
そこで見えてきたのは、日本のビオ(有機)商品の価格の高さと、環境への配慮の違いでした。
日本とドイツのマーケット文化の違い
ドイツでの蚤の市と呼ばれる主なマーケットは、新鮮な食材を手頃な価格で購入する場所として、またコミュニティの中心として機能しています。
一方、日本の青山ファーマーズ・マーケットを訪れた際には、品質の高さには驚きましたが、価格がやや高めに設定されていることが難点と感じました。ドイツ人の友人は、適正価格に厳しい目を持ち、品質と価格のバランスを見極めながら購入を決めていました。
一般的に、適正価格にはうるさいドイツ人。自分で自分の指針を持つ人が多いドイツ人。自分の目で品質を見極めて、「なぜこれがこんなに高いの?」や「これはもう少し高くてもいいからすごいね」などと判断しながら慎重に買い物をしていたのが印象的でした。
ところでドイツ人の彼は、このりんご屋さんで、ジャムを買いました。
私もこのりんごジュースが欲しかったのですが、今回は、その日一日散歩するので、断念。
環境への意識の違い
訪問中、過剰包装に対するドイツ人の友人の反応は特に印象的でした。
ドイツでは環境教育が徹底されており、過剰包装への反対意見が一般的です。この点において、日本の環境への意識はまだ改善の余地があると感じました。友人の「環境のことを考えようよ」という言葉は、私にとっても深い印象を残しました。
日本のビオ商品の価格と購入の敷居
青山ファーマーズ・マーケットで見たビオ商品の高価格は、日本におけるビオ商品の購入敷居の高さを示しています。一方で、ドイツではビオ商品がより手頃な価格で広く普及しており、日常生活での選択肢として根付いています。
この違いは、両国の農業政策や市場の成熟度、消費者の意識の違いから来ていると考えられます。
ドイツと日本の自給率と農産物の質 – ビオの台頭と日本における課題
ドイツと日本では、農産物の自給率、農業のスケール、そして質に関するアプローチに大きな違いがあります。
ドイツではかつて、農業の規模が大きくなるにつれて、大量生産と低価格戦略が追求されましたが、これによって食品の品賀が問題視されるようになりました。それに応えるかたちで台頭してきたのがビオ(有機)農業です。この欧州での流れは、品質、健康、そして環境に配慮した農業が重要視されるようになった象徴です。他方、日本に目を転じると、農業は異なる側面で課題をはらんでいます。
ドイツにおけるビオ農業の台頭
ドイツでは、消費者の健康と環境に配様した選択へのニーズが、ビオ農業の大きな伸びにつながりました。これは、消費者の購買行動や、生産側の持続可能な農業に向けた高まる関心が後押しし、国全体の農産物自給率向上にも繋がっています。ビオ製品は従来の農業製品に比べ価格が高いものの、品質への信頼がこれを補って余りあるとされています。
日本の農業と自給率の現状
対照的に、日本の農業は中小規模経営が大多数を占め、国土の地形上、広大な農地を確保しにくいことから、ドイツのような大量生産への移行が難しい実情があります。また、日本における農業の自給率は依然として問題視されるレベルにとどまっており、これは地理的、気候的な要因と合わせて、外食や輸入食品の普及が背景にあると考えられます。その結果、質の高い農産物、特にビオ産品への関心は高まっているものの、製品価格の高騰や生産量の不足などが課題となっています。
ビオ農業の日本での困難
ドイツの成功モデルを参考に、日本でもビオ農業を通じた自給率向上や農村経済の発展が期待されています。
しかし、規模の経済が追求しにくい国内事情や、価格感受性の高い消費者市場、固定化された流通体系など、根本からの転換を迫られる課題が横たわっています。加えて、ビオ製品への一層の普及促進は、情報啓発や環境教育、所得レベルの向上など、さまざまな側面からのアプローチを必要とするでしょう。