ドイツで暮らし始めてまず驚いたこと。
キッチンに立つと、ほんのり香るバジルやローズマリー。
スーパーでは鉢植えのフレッシュハーブがずらりと並び、どの家庭でも料理にさっと加えるのが当たり前。
日本でもバジルやパセリなどに馴染みはありますが、ドイツではそれ以上にハーブの種類も使い方も豊富。
育てて使うのも当たり前で、料理だけでなくハーブティーにも大活躍。
この記事では、私がドイツ生活の中で出会ってきた「よく使われているハーブとスパイス」を、料理での使い方とともにご紹介します。

「Kräuter(ハーブ)」と「Gewürze(スパイス)」は、どちらも料理に風味や香りを加えるために使われますが、それぞれに異なる特徴があります。
ドイツの食卓には、ハーブやスパイスが欠かせません。
- 1 日本とドイツの香辛料文化の違い
- 2 Kräuter :ハーブ
- 3 よく使われるドイツのハーブを一つずつご紹介
- 4 Gewürze(スパイス)
- 5 この記事で紹介するスパイスの特徴
日本とドイツの香辛料文化の違い
🇯🇵日本では、しょうゆや味噌、だしなどの「旨み」をベースにした味つけが主流で、ハーブやスパイスは薬味や香りづけとして控えめに使われることが多い傾向があります。
🇩🇪一方、ドイツでは、日々の家庭料理にもディルやタイム、ローズマリーなどのハーブがふんだんに使われ、スパイスもクミンやパプリカなどをしっかり効かせるのが一般的です。
ドイツの家庭で親しまれる「育てて使うハーブ文化」
また、ハーブをベランダや庭で育てて料理に使うのもよくある光景で、香辛料は「風味づけ」ではなく「味そのものを構成する要素」として存在感を放っています。

ドイツのスーパーで手に入るフレッシュバジル。
家庭のキッチンでも、こんなふうに手軽にハーブを育てて使う文化が根づいています。
このように、香辛料の「脇役」的な立ち位置が多い日本に対して、ドイツでは「主役の一部」として、ハーブとスパイスが深く日常に根づいています。
Kräuter :ハーブ

ハーブは葉や茎を使う香りの名脇役
ハーブは、主に緑色の葉や茎の部分を使います。
新鮮なものや乾燥タイプとして料理に加えることで、ふわっと広がる香りや繊細な風味が一皿を引き立ててくれます。
代表的なものには、バジル、パセリ、ローズマリー、タイムなどがあり、どれもドイツの家庭料理ではおなじみの存在です。
料理をプロっぽくする「ひとふり」
ハーブは、料理の最後にちょっと加えるだけで味も見た目もぐっと引き締まります。
シンプルなスープや焼き野菜でも、ローズマリーやタイムを加えるだけで、まるでビストロのような仕上がりに。
ハーブは飲み物にも
ハーブティーって、ほんとにいろいろな種類があるんです。
dmとかスーパーのティーコーナーに行くと、棚いっぱいにずら〜っと並んでて、ついつい眺めてしまいます。
カモミールでリラックス、ミントでスッキリ、レモンバームで気持ちが落ち着く感じ。
「ウーマンバランス」みたいに女性の体調を整えてくれるブレンドや、「消化を助けます」系、「寝つきサポート」みたいなものまで、目的別に選べるのがすごい。
よく使われるドイツのハーブを一つずつご紹介
ドイツの家庭やレストランでよく使われている代表的なハーブを、実際の使い方とともに見ていきましょう。
どれもスーパーで手に入るものばかりなので、ドイツ生活初心者にもおすすめです。
- どんな料理に合うか
- 香りや味の特徴
- おすすめの使い方
などを、わかりやすく紹介していきます。
マジョラム (Majoran):肉料理と相性抜群

マジョラムは、ソーセージ製品、特にブラートヴルストなどの肉料理に頻繁に使用されます。
マジョラムは、料理に甘く、少しスパイシーな香りを加え、味に奥行きを引き出しバランスを整えます。
ソーセージとじゃがいもの煮込み(Wurst-Kartoffel-Eintopf)
マジョラムはドイツの定番ハーブのひとつで、特にソーセージやじゃがいもとの相性が抜群!
粗挽きのブラートヴルスト(焼きソーセージ)と、角切りにしたじゃがいも、玉ねぎ、にんじんをコンソメや野菜スープで煮込み、最後にマジョラムを加えるだけで、香りがぐっと引き立ちます。
バジル(Basilikum):トマトやモッツァレラと相性抜群

トマトやモッツァレラと相性抜群の地中海系ハーブ。サラダやパスタ、スープに加えるだけで、爽やかで甘みのある香りが広がります。
その香り高い風味はトマト料理、ペストソース、サラダ、スープにぴったりです。新鮮な葉を使うことで、料理に爽やかで少し甘みのある香りを加えることができます。
トマトとモッツァレラのカプレーゼ(Tomate-Mozzarella mit Basilikum)
バジルといえばこれ!シンプルなのに間違いなくおいしい、定番の冷菜です。
スライスしたトマトとモッツァレラチーズを交互に並べて、フレッシュなバジルの葉をふわっとのせるだけ。
仕上げにオリーブオイルと塩、好みでバルサミコ酢をひとまわしすれば、あっという間におしゃれな一皿に。
ドイツのスーパーでも全部簡単に手に入るし、火を使わないから夏にもぴったり。
ローリエ (Lorbeer):煮込み料理に欠かせない

ローリエはドイツ語で「Lorbeer」と言います。
煮込み料理に欠かせない葉ものハーブ。スープやシチューに入れて煮込むことで、独特の深みを加えてくれます。
*食べる前には取り出します。
牛肉の赤ワイン煮込み(Rindergulasch mit Rotwein und Lorbeer)
ローリエを使うなら、やっぱり煮込み料理!
中でもおすすめは、牛肉を赤ワインと一緒にじっくり煮込むドイツ風グーラッシュです。
玉ねぎやにんじんと一緒に牛肉を炒めたあと、赤ワインとブイヨンを注ぎ、ローリエの葉を1〜2枚加えてコトコト煮込むだけ。
ローリエは煮込むことでほんのり苦みと深みを加えてくれて、味にぐっと奥行きが出ます。
最後にローリエを取り出すのを忘れずに。
マッシュポテトやシュペッツレ(ドイツ風パスタ)を添えれば、本格的なドイツのごちそうに!
タイム (Thymian):鶏肉やラムなどのロースト料理に

タイムは「Thymian」という名前でドイツの家庭やレストランでよく使用されます。
鶏肉やラムなどのロースト料理に使われることが多く、ほろ苦さと温かみのある香りが特徴。ドイツでは乾燥タイプもよく使われます。
また、スープやソース、野菜のグリルにも適しており、地中海風の料理には不可欠な存在です。
鶏もも肉のオーブン焼き(Hähnchenschenkel mit Thymian)
タイムの香りを楽しむなら、オーブン料理がいちばん!
中でもおすすめは、鶏もも肉のタイムローストです。
鶏もも肉に塩・こしょう・オリーブオイルをなじませ、フレッシュまたは乾燥のタイムをたっぷりのせてオーブンで焼くだけ。
じゃがいもやにんじんなどの根菜を一緒に焼けば、手間いらずで豪華な一皿に。
タイムのほろ苦さと温かみのある香りが、皮パリッ・中ジューシーな鶏肉と最高に合います。
ドイツの家庭でも定番の「手抜きなのにおいしい」ごはん
ディル (Dill):料理を北欧・北ドイツ風に

魚料理やポテトサラダ、ヨーグルトソースなどによく合うハーブ。爽やかで少しクセのある香りが、料理を北欧・北ドイツ風に仕上げてくれます。
ドイツのニジマス×ディルの北ドイツ風リゾットを作ってみた!
スーパーで新鮮なドイツ産のニジマス(Forelle)を見つけて、思わず購入。
ちょうど冷蔵庫にディルがあったので、北ドイツの家庭料理風にアレンジしてクリーミーなリゾットを作ってみました。
作り方は意外とシンプルで…
続きの記事はこちら:ドイツのニジマスとディルを使った北ドイツ風リゾットの魅力!【家庭料理】
動画で見たいならこちら(Youtube):ニジマスとディルのドイツ風リゾット作ってみた!|ドイツ家庭料理

Gewürze(スパイス)

スパイスは、植物の種子・果実・根・花・樹皮など、葉以外の部分から作られます。
乾燥させて使うのが一般的で、料理にピリッとした刺激、深い香り、そして温かみのある風味を加えてくれるのが特徴です。
ドイツの家庭で使われるスパイスたち
ドイツ料理でもスパイスは欠かせません。
特にクミン、ナツメグ、コリアンダー、シナモンなどは、日常の家庭料理から伝統的な郷土料理まで、あらゆる場面で活躍しています。
スーパーで手に入る、定番スパイス
ドイツのスーパー(dm、Rewe、Edekaなど)では、スパイスがずらりと棚に並んでいて選ぶのも楽しいもの。
Bio(オーガニック)ブランドのものも多く、小さな瓶やパウチで気軽に試せるのも嬉しいポイントです。
この記事で紹介するスパイスの特徴
ここでは、特にドイツでよく使われる&実際に料理で出番の多いスパイスをピックアップ。
- どんな料理に合うか
- 香りや味の特徴
- おすすめの使い方
などを、わかりやすく紹介していきます。
クミン (Kümmel):キャベツ炒めに合う香ばしスパイス

クミン(Kümmel)は、ドイツではライ麦パンやザワークラウトに使われる定番スパイスですが、家庭ではキャベツの炒め物や肉料理に取り入れるのがおすすめです。
香ばしくてほんのりスパイシーな風味が特徴で、シンプルな炒め物も一気に“ドイツっぽく”なるのが楽しいところ。
たとえば、キャベツとソーセージを一緒に炒めて、仕上げにクミンをパラッと加えるだけで、簡単なのに本格的な一品に。
クミン香るキャベツとソーセージの炒めもの
クミンって、なかなか使い方が思いつかない…そんな人にもぴったりなのがこの一品。
ざく切りキャベツとソーセージを炒めて、クミンをふわっと加えるだけで、一気にドイツの家庭の味に早変わり!
クミンの香ばしくスパイシーな風味が、ソーセージの旨みと相性抜群で、ごはんにもパンにも合います。
消化を助けるとも言われているので、ちょっと重めの肉料理もあと味すっきり。
忙しい日の時短メニューにもおすすめです!
Kreuzkümmel(クミンシード):炒めるだけで香り立つキッチンの常備スパイス

外見は「Kümmel」とそっくりでも、香りも味もまったく別物!
Kreuzkümmelは、カレーやファラフェル、チリ・コン・カルネなどエスニック系の料理に使われるスパイスで、濃厚で独特な香りが特徴。
ドイツ人の夫からは「ひき肉料理にはこれ一択!」とアドバイスを受けるほど、ドイツでもじわじわ浸透している存在です。

クミンシード香る ひき肉とじゃがいもの炒めもの
炒めたときにふわっと立ち上がるクミンシードの香りがクセになる、家庭で作れるエスニック風おかず。
ひき肉とじゃがいもを炒めるシンプルな一品ですが、仕上げにクミンシードを加えるだけで一気に本格派の味わいに!
ジュニパーベリー (Wacholderbeeren):肉のにおいをまろやかに整えてくれる

ジュニパーベリーは、特に野生の鹿や豚などのジビエ料理に用いられます。
この香辛料は、ジビエ特有のクセを和らげ、独特の爽やかさを料理に加えることができます。
煮込みやマリネ液に数粒加えるだけで、香りがグッと引き立ちます。
ジュニパーベリー香る イノシシの赤ワイン煮込み
イノシシのようなジビエ肉のクセをまろやかにしてくれるのが、ジュニパーベリーの得意技。
赤ワインと香味野菜、砕いたジュニパーベリーを一緒に煮込むと、深みのあるのにクセの少ない、上品な仕上がりに。
ローリエやタイム、クローブと組み合わせるとより本格的で、冬のごちそうや記念日ディナーにもぴったり。
パンにもマッシュポテトにも合う、ドイツの伝統を感じる一皿です。
カルダモン(Kardamom):冬のぬくもりや幸せなひとときを感じさせてくれる

カルダモン(Kardamom)は、甘くて華やかな香りをもつスパイス。
一口食べただけで、ふわっと広がるエキゾチックで高貴な香りに包まれます。
特にドイツでは、クリスマスマーケットの名物「レープクーヘン」や「シュトレン」などの焼き菓子に欠かせない存在。
ほんの少し加えるだけで、お菓子全体が奥深く香り立ち、冬のぬくもりや幸せなひとときを感じさせてくれるスパイスです。
粉末タイプもありますが、ホットワインやチャイに使うときは、さやごと潰して入れると香りが引き立ちます。
ナツメグ (Muskatnuss):ポテト料理、ホワイトソース、ミートローフの定番

ポテト料理、ホワイトソース、ミートローフなどに定番のスパイス。
すりおろして少量使うと、まろやかで深いコクが出ます。
スピナッチやベシャメルソースにもよく合い、ほんのり甘く温かみのある香りが料理全体をまとめてくれます。
ナツメグ香る クリーミー・マッシュポテト
ナツメグは、じゃがいも料理と相性抜群。その中でも定番で失敗なしなのが「マッシュポテト」。
バターと牛乳でのばしたじゃがいもに、すりおろしたナツメグをほんのひとつまみ加えるだけで、風味が格段にアップします。
ナツメグのやさしくて温かみのある香りが、シンプルな味に深みを加えてくれて、メインディッシュの引き立て役としても抜群。
ハンバーグやミートボールの付け合わせにもぴったりで、ドイツでも家庭料理の定番としてよく登場する組み合わせです。
パプリカパウダー(Paprikapulver):ドイツの家庭で最も使いやすい

ドイツの家庭で最もよく使われるスパイスのひとつ。
甘口のものが主流ですが、辛口やスモークタイプもあります。
肉料理、煮込み料理、ソーセージ、シチュー、そしてハンガリー風グラーシュにも欠かせない存在。
鮮やかな色と、ほのかな甘みや辛さが料理に深みを与えます。

シナモン(Zimt)

ドイツではお菓子やホットドリンクに大活躍のスパイス。
甘くて温かみのある香りが特徴で、レープクーヘンやシナモンロールはもちろん、りんご料理や冬のティータイムにも欠かせません。
また、消化を助けたり血糖値を調整したりする効果もあると言われています。
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私が使っているオーガニックシナモンはこちら
